前置詞 in を概念とイメージで理解する|“中”だけじゃない本質をつかむ

英語学習

英語の前置詞 in と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは「〜の中に」という意味ではないでしょうか。
たしかにそれは間違いではありませんが、実は in を「中」とだけ覚えていると、イディオムや抽象的な表現で必ずつまずきます

この記事では、英語の in の本当のコアイメージ を、次の4つの観点から整理して解説します。

  • ① 物理的な「内側」の in
  • ② 抽象的な「内側」の in
  • ③ 時間の「枠の内側」の in
  • ④ 状態・カテゴリーの「内側」の in

さらに、それぞれの使い方に対応した 実際のイディオム を紹介しながら、
あなたがすでに知っている表現と in のイメージを結び直せる ように構成しています。


in のコアイメージは「境界の内側にいる」

まずは、この記事の土台になる考え方から。
辞書的には in = 〜の中に と説明されますが、ここで大事なのは 「中」よりも「境界の内側」 という発想です。

頭の中に、こんなイメージを思い浮かべてください。

  • 紙の上に丸(円)を描く
  • その円の内側に点を打つ

このとき、円が「境界」点が「何か(人・モノ・状態など)」 です。
英語の in は、基本的に 「その境界の内側に点が存在している」 というイメージだと考えると、物理的な “中” だけでなく、 抽象的な意味にも柔軟に対応できるようになります。

この「境界」は、次のようにさまざまな形で現れます。

  • 目に見える空間の境界(部屋・箱・建物など)
  • 感情・状態・関係性といった抽象的な枠
  • 朝・一年・世紀といった時間の枠
  • 役割・ジャンル・活動・ターゲットなどのカテゴリー

ここからは、このコアイメージをもとに、4つのタイプに分けて具体的に見ていきます。


物理的な「内側」の in

一番わかりやすいのが、この 物理的な「内側」 を表す in です。
いわゆる教科書で最初に習う用法ですね。

  • in the box(箱の中に)
  • in the room(部屋の中に)
  • in the water(水の中に)
  • in the car(車の中に)

ここでは、境界は目に見える “枠” として存在しています。
箱、部屋、車といったものが「外と内を分ける境界」で、in は単純にその 内側にいる状態 を表しているだけです。

ただし、英語では、境界がはっきり見えない空間 に対しても in を使います。

  • in the sky(空に)
  • in the sea(海の中に)
  • in the mirror(鏡の中に)

空も海も鏡の世界も、物理的にくっきりした「箱」ではありませんよね。
それでも英語では、それらを ひとつの大きな空間としての「枠」 とみなし、その中に存在していると考えるときに in を使います。

参考イディオム:in and out

この物理的な「内側」の in をイメージしやすくしてくれるのが、イディオム in and out です。

この表現は「出たり入ったり」「出入りする」「頻繁に出入りしている状態」などを表します。
ここでの in は、まさに ある空間の「内側」 への動きです。

  • He’s been in and out of the hospital.
    彼は病院に出たり入ったりしている。

「病院」という一つの空間(境界がある場所)に対して、in は「中へ」、out は「外へ」。
このように、in は「内側へ」「内側にいる」 という最も素直なイメージで使われていることがわかります。


抽象的な「内側」の in

次に大事なのが、抽象的な「内側」 を表す in です。
ここからが、日本語の「中」という訳だけでは苦しくなってくる領域です。

英語では、感情・状態・人間関係・危険・トラブルなど、目に見えないものも ひとつの「枠」 として扱い、その中にいることを in で表すことがよくあります。

  • in trouble(トラブルの中にいる → 困っている)
  • in love(愛の中にいる → 恋している)
  • in danger(危険の中にいる → 危険な状態にある)
  • in doubt(疑いの中にいる → 疑わしい、確信が持てない)

これらはすべて、「状態」という目に見えない枠の内側にいる と考えると統一的に理解できます。

参考イディオム:stab A in the back

この抽象的な「内側」の in を、さらに強く実感させてくれるのが、イディオム stab A in the back です。

直訳すると「A の背中を刺す」ですが、実際の意味は 「A を裏切る」 ですよね。
ここでの in を「場所としての背中の中」と理解しようとすると、イメージがぼやけてしまいます。

大事なのは、背中を見せている=相手を信頼している という前提です。
つまり、stab A in the back は、

  • A と信頼関係にある(=安心して背中を見せている)
  • その信頼関係という枠の「内側」 で、こっそり裏切り行為をする

というイメージでとらえると、in が単なる物理的な位置ではなく、抽象的な関係性の「中」 を表していることがわかります。

同じように、次のような表現もすべて「抽象的な枠の内側」の in です。

  • just in case(万が一の場合に備えて → 「もしもの事態」という枠の中)
  • in my opinion(私の意見の中で → 私の考えという枠の中)
  • in theory(理論上は → 理論の枠の中では)

このように、「in = 中」と機械的に覚えるのではなく、どんな枠の内側なのか? を意識して読むことが、抽象表現を読み解くカギになります。


時間の「枠の内側」の in

3つ目は、時間を「枠」としてとらえ、その内側を表す in です。
これも日常でよく使われるのに、あまり意識されないパターンです。

  • in the morning(朝のうちに → 朝という時間帯の枠の中)
  • in 2025(2025年に → 2025年という一年の枠の中)
  • in the 21st century(21世紀に → 21世紀という期間の枠の中)

また、未来表現でよく使われる in an hour も、
「1時間後」と訳されることが多いですが、イメージとしては 「今から1時間という枠の中で、それが実現する」 という感覚です。

  • I’ll call you in an hour.
    1時間後に電話するよ。(=今から1時間という時間の枠の中で、電話するタイミングがやってくる)

時間は目に見えませんが、英語では 「時間の箱」「時間の線の一部」 のようにとらえ、その中を指し示すときに in を使います。

この記事で紹介しているイディオムの中には、この「時間の枠の in」にぴったり当てはまるものはありませんが、
前置詞のイメージを理解するうえでは欠かせない視点なので、あえて独立したセクションとして取り上げました。


状態・カテゴリーの「内側」の in

最後に紹介するのが、状態・カテゴリー・活動・プロセス の「内側」を表す in です。
ここまでくると、「中」という日本語訳ではほとんど役に立たない場面も増えてきます。

次のような表現を見たことがある人も多いと思います。

  • in charge of(〜の担当である → 役割の枠の中にいる)
  • in control(支配している・うまく管理している → コントロールできている状態の中)
  • in fashion(流行している → 流行というカテゴリーの中に入っている)
  • in demand(需要がある → 需要がある状態の中にいる)

ここでの in は、具体的な空間ではなく、「そういう状態・立場・カテゴリーに属している」 というイメージです。

参考イディオム:zero in on

この「状態・カテゴリーの内側」としての in をよく表しているのが、イディオム zero in on です。

zero in on 〜 は、「〜に狙いを定める」「〜に集中する」という意味で使われます。

  • Let’s zero in on the main issue.
    主要な問題に焦点を絞ろう。

ここで描かれているイメージは、

  • たくさんの情報や話題がある中から
  • 「ここが重要だ」というポイントに向かって、焦点をぎゅっと絞り込む

つまり、「焦点」という目に見えない ターゲットの枠の内側 に、自分の注意やエネルギーを集中させるイメージです。
in は、その 焦点の内側に、自分の意識を“入れていく” ことを表していると考えるとわかりやすくなります。

同じように、状態・カテゴリー系の in は、次のような発想で整理できます。

  • be in the ballpark(だいたい合っている)
    → ballpark(球場)を「範囲」のメタファーと考え、その範囲の内側に収まっているイメージ。
  • pitch in(協力する、手伝う)
    → 共通の作業やプロジェクトという「活動の枠」の中に、自分も加わるイメージ。
  • have a bun in the oven(妊娠している)
    → 妊娠という状態の内側にいる、とても比喩的な表現。

どれも、物理的な空間ではないものの、何らかの「状態」や「グループ」に属する=その内側にいる という形で in が使われています。


まとめ:in は「中」より「境界の内側」で理解する

ここまで見てきたように、英語の in は、単なる「中」という意味にとどまりません。
「境界の内側にいる」という一本のイメージ を持つことで、さまざまな用法を統一的に理解できるようになります。

  • ① 物理的な「内側」:部屋・箱・空間の中 → in and out など
  • ② 抽象的な「内側」:感情・関係・状況の中 → stab A in the back など
  • ③ 時間の「枠の内側」:朝・年・期間という時間の箱の中
  • ④ 状態・カテゴリーの「内側」:役割・流行・ターゲットなどの枠の中 → zero in on など

今後、in を含む表現に出会ったときは、「何の境界の内側なんだろう?」 と一瞬立ち止まって考えてみてください。
それだけで、辞書の意味を暗記するだけの学習から、英語の イメージをつかむ理解 へと一歩進むことができます。

そして、この記事で触れたイディオムの詳しい意味やニュアンスは、個別の記事でさらに深く解説しています。
前置詞 in のコアイメージを頭に入れたうえでイディオムを読み直すと、「なぜその表現でその意味になるのか」 が腑に落ちるはずです。

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