映画で英語：『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の名セリフから英文法を学ぼう

はじめに

映画で語られる一言には、時に辞書には載っていない“生きた英語”が詰まっています。今回取り上げるのは、2007年の映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド（There Will Be Blood）』の強烈なクライマックスからの一言――

“I drink your milkshake. I drink it up.”

アカデミー賞主演男優賞に輝いたダニエル・デイ＝ルイス演じる主人公ダニエル・プレインビューが発するこの台詞は、比喩と狂気が交錯する圧巻の場面です。一見すると意味不明に思えるこのセリフですが、背景や文脈を知れば、「なるほど、そういうことか！」と膝を打つことでしょう。さらに、今回は文法的なポイントも丁寧に解説します。

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映画の中での名シーン

このセリフは、映画の終盤、主人公ダニエルがライバルのイーライに対して、自分がいかに相手の資源を奪ったかを「牛乳シェイク（milkshake）」にたとえて語る場面で登場します。

彼は、地下にある石油をストローで吸うように、自分の土地から他人の石油までも吸い取ってしまったと説明するのです。

“If you have a milkshake, and I have a milkshake, and I have a straw, and my straw reaches across the room and starts to drink your milkshake. I drink your milkshake! I drink it up!”

このたとえは、複雑な石油のドレナージシステムを分かりやすく説明するための比喩（メタファー）として使われており、その異常な語り口調と強烈な演技が、観客に深い印象を与えました。

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セリフの意味とメタファー

「I drink your milkshake.」の直訳は「お前のミルクシェイクを飲んでやった」というものですが、もちろん本当に飲み物を奪ったわけではありません。これは、「他人の資源を自分のものにする」「合法的に搾取する」といった行為を、ミルクシェイクという親しみやすい飲み物でたとえた皮肉たっぷりのメタファーです。

ミルクシェイクのストローは、石油採掘用の掘削パイプを指しており、「お前の石油はすでに俺が吸い取った」と示しているのです。

milkshake = 他人の資源（石油）
straw = 掘削権利や技術力
drink = 吸い取る・奪う

これにより、映画のテーマでもある資本主義と欲望の暴走が、たった一文で象徴的に表現されています。

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文法解説：動詞の使い方に注目しよう

このセリフの中で注目したいのが、「drink it up」という表現です。

🔹 drink + it + up の構造

「drink it up」は以下のように分解できます：

• drink：動詞「飲む」
• it：目的語（milkshake＝資源）
• up：句動詞としての副詞。「完全に」「残らず」という意味を強調

つまり、「drink it up」は**「すっかり飲み干す」「根こそぎ奪う」**というニュアンスになります。ここでの “up” は方向や上昇ではなく、「完了」を表す副詞です。

✅ 例文で確認：

• She drank up her coffee before leaving.
  　→ 出発前にコーヒーを飲み干した。
• They used up all the money.
  　→ お金をすべて使い果たした。

このように、「動詞＋up」はよくある句動詞のパターンで、完了や消耗の意味合いを持つことが多いです。

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まとめ：比喩と文法で英語の奥深さを味わおう

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のセリフ「I drink your milkshake. I drink it up.」は、強烈な印象とともに、英語特有の比喩的表現と句動詞の使い方を学ぶ絶好の例です。

たった一杯の“milkshake”が、ここでは土地、権利、欲望、資本主義、そして人間の欲深さまでも象徴しているのです。こうした映画のセリフを通じて、ただ英語を理解するだけでなく、背景にある文化や社会的意味までも読み解けるようになれば、英語学習はもっと楽しく、もっと深いものになります。

映画で英語を学ぶということは、言葉だけでなく感情や価値観も受け取ること。あなたもぜひ、名セリフの奥に潜むメッセージに耳を傾けてみてください。