はじめに
英語には、一見シンプルでもとても奥深いニュアンスを持つ表現が数多くあります。その中で Your call. は短いながらも、相手に委ねる姿勢と、そこに含まれる微妙な心理を同時に伝える興味深いフレーズです。直訳すれば「あなたの判断」「あなたが決めていいよ」という意味ですが、場面によっては“丸投げ”“放任”“軽い突き放し”といった温度の違う意味合いが顔を出します。
日本語の「どっちでも」「お好きにどうぞ」「あなたの判断に任せる」という表現は、言い方次第で優しさも冷たさも生まれますよね。それと同じように、Your call. も、発される声のトーン、前後の文脈、二人の関係性によって、含まれる感情の色が大きく変化します。
今回は、このフレーズの意味の幅、文法的背景、ネイティブが感じ取る“心理距離”、似た表現との違い、そして実際の会話例まで、深く掘り下げて解説します。英語のコミュニケーションにおいて、こうした短い表現が想像以上に大きな役割を果たすことがよくわかるはずです。
意味について
Your call. は基本的には「あなたが決めるべき」という意味のフレーズです。しかしその裏には次のようなニュアンスが隠れています。
- 判断の主体は相手にある、という明確な線引き
- 自分は口を出さない、または出せない立場だという静かな宣言
- 優しさ・尊重としての“委ねる”と、軽い突き放しとしての“任せる”の両方を含みうる
- 相手が下す決断に対し、自分が責任を負わないという距離感が生じることもある
例文:
If you want to take the risk, go ahead. It’s your call.
(リスクを取りたいなら、どうぞ。決めるのはあなた。)
例文:
We can stay home or go out. Your call.
(家にいるのも出かけるのもどっちでもいいよ。あなたの判断。)
柔らかくも使えるし、冷たくも響く。この“中立っぽさ”が逆にニュアンスの幅を生み、ネイティブ同士でも時に解釈に揺らぎを生みます。
語源
この表現の核となっているのは call の「判断」「決定」「裁量」という意味です。
スポーツの審判が判定を下すことを make the call と言いますが、ここから「決断を下す」が一般化しました。
例:
It’s a tough decision, but I’ll make the call.
(難しい決断だけど、私が判断するよ。)
この call = 判断 を前提に、Your call. は “the call is yours” を短縮したカジュアルな形として生まれました。短いのに意味がきっぱりしているため、会話で非常に使いやすく、感情の温度によって表情を変える表現としても定着しています。
類義語
It’s up to you.
最もよく知られる近い表現。
相手に選択権があることを示すが、比較的やわらかく親しみのある響き。
例文:
Where we eat is up to you.
(どこで食べるかはあなたが決めて。)
Your choice.
ややドライで、判断を完全に相手に任せる印象。
「好きに選んで」と軽く言える一方で、「私はどちらでも関与しない」という距離感も含む。
例文:
We can cancel or keep the plan. Your choice.
(キャンセルするか続けるか、どっちでもいいよ。あなた次第。)
Do whatever you want.
「好きにしなよ」に近く、場合によっては諦めや呆れを含んで刺さる表現。
Your call. より感情の色が濃く、強い距離を感じさせることも多い。
例文:
Fine, do whatever you want.
(はいはい、好きにすれば。)
That’s on you.
「責任はあなた」という意味で、判断の結果まで含めて相手に預ける表現。
Your call. の「判断を委ねる」よりもさらに明確に突き放した言い方。
例文:
If you ignore the advice, that’s on you.
(助言を無視するなら、それはあなたの責任だよ。)
Your call. はこれらの中で最も「ニュアンスの幅」が広く、良くも悪くも解釈の余地が残る表現と言えます。
使い方のポイント
柔らかい委ね方として使う場合
相手の選択を尊重し、負担をかけないようにしてあげたいときに自然に使える表現です。
優しさや協力の姿勢を保ちながら、相手の希望を優先させるイメージ。
例文:
If you’d rather stay in tonight, that’s totally fine. Your call.
(今夜は家にいたいならそれでいいよ。あなたが決めて。)
相手に判断責任を渡す響きを出す場合
感情を抑えた冷静なトーンで言うと、「決めるのはあなたで、私は口出ししない」という線引きがより明確になります。
例文:
I won’t tell you what to do. It’s your call.
(どうするかは指示しないよ。決めるのはあなた。)
ここには“責任の所在”を静かに引き渡す空気が漂います。
やや突き放した意味で使う場合
話者がすでに相手に振り回されている、あるいは疲れている場合に、Your call. は“もう好きにして”という軽い諦めのように聞こえます。
例文:
If you still think he’s trustworthy after everything, your call.
(色々あったのに彼をまだ信用するなら、それはあなたの判断。)
優しくも聞こえますが、裏には冷静な距離感があり、聞く側もどこかの責任を引き受けなければならない雰囲気が生まれます。
ビジネスでの扱い
カジュアルな表現ゆえ、ビジネスメールでは使わない方が無難ですが、口頭のカジュアルな場面や、近い関係の同僚間では問題なく使われます。
例文:
We can move forward or wait for more data. Your call.
(このまま進めてもいいし、追加データを待ってもいい。判断は任せる。)
ただし、判断の責任を強く感じさせることもあるため、多用しすぎると「丸投げする人」という印象を持たれる可能性があります。
まとめ
Your call. は「あなたが決めて」という非常に短い表現ながら、その裏には複数の感情と心理的温度が折り重なっています。柔らかく相手を尊重する形にも、軽く突き放す形にも使えるため、文脈・関係性・声のトーンによって意味が大きく変わるのが特徴です。
このフレーズを理解するためには、call が「判断」「決断」を意味する英語独特の感覚を掴むことが重要です。また、類義語との比較を通じて、その位置づけがよりはっきり見えてきます。英語のコミュニケーションは言葉そのものだけでなく、距離感や責任の分配の仕方まで反映するため、Your call. のような短い表現でも丁寧に感じ取る価値があります。
英語を学ぶ上で、こうしたセンシティブなニュアンスに触れることで、よりネイティブに近い理解や表現力が身につきます。ぜひ実際の会話の中で、文脈に応じた使い分けを意識してみてください。
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