for のコアイメージは「方向性と受益」
前置詞 for は、多くの学習者にとって「〜のために」という意味で覚えられています。
しかし、英語の for の本質は、単なる目的や利益ではありません。
もっと広く、もっと抽象的に、「方向性」「意図」「受益者」「対象」「適性」 を表す前置詞です。
このイメージをつかむと、物理的な移動から抽象的な感情表現、さらには適性や役割を示す表現まで、for の使い方が一本の線でつながります。
この記事では、方向性 → 利益・対象 → 意図・感情 → 適性・役割 → 永続性 の順に、for の世界を体系的に整理していきます。
目的地に向かう「方向性」の for
まずは最も基本的な用法である「方向性」を示す for です。to が「到達点」を表すのに対し、for は「その方向に向かっている」というニュアンスを持ちます。
leave for Tokyo(東京に向けて出発する)head for the exit(出口に向かう)make for the hills(丘に向かって進む)
これらはすべて、まだ到達していないけれど、意識や動きがその方向に向かっていることを示しています。for の方向性は、物理的な移動だけでなく、抽象的な目的にも応用されます。
利益・対象を示す for
次に、for が「利益・対象」を示すケースです。
誰かのために何かをする、という意味で使われることが多く、行動の受け手を示します。
I bought this for you.(あなたのために買った)This gift is for her.(彼女への贈り物)He works for a tech company.(技術企業のために働いている)
ここでの for は、行動の“受益者”や“目的”を示しています。
つまり、for の方向性は、誰かに向かっている・何かの利益に向かっているという点が重要です。
参考イディオム:for the sake of
for the sake of は「〜のために」「〜の利益のために」という意味の表現です。
ここでの for は、目的や価値の方向に意識が向いていることを示しています。
たとえば for the sake of your health(健康のために)という場合、
行動の目的が「健康」という価値に向かっていることを表しています。
このように、for は単なる「〜のために」ではなく、価値や目的に向かうベクトルを持っているのです。
意図・感情の「方向性」の for
ここからは、for が「意図」や「感情の対象」を示すケースです。
英語では、感情や要求も「方向性」を持つと考え、その“向き”を for で表します。
I feel sorry for him.(彼に同情する)I have respect for her.(彼女を尊敬している)I voted for the new policy.(新しい政策に賛成票を投じた)
これらはすべて、感情や意志が「誰か・何か」に向かっている状態です。for は、感情の矢印が向かう先を示す前置詞として機能しています。
参考イディオム:press for
press for は「〜を強く求める」「〜を要求する」という意味の表現です。
ここでの for は、要求の対象に向かって圧力をかけるという方向性を示しています。
たとえば The group pressed for reform.(その団体は改革を強く求めた)という場合、
改革という“目的”に向かって行動していることが for によって表現されています。
このように、for は意志や要求の“向き”を示す前置詞でもあるのです。
適性・役割の「向き」の for
次に、for が「適性・役割・向いている方向性」を示すケースです。
英語では、人の性質や能力も「何かに向いている」というベクトルで捉えます。
This job is not for me.(この仕事は私向きではない)She’s perfect for the role.(その役にぴったりだ)He’s not cut out for politics.(彼は政治に向いていない)
ここでの for は、人の性質や能力が何かに向いているかどうかを示しています。
「適性」や「役割」という抽象的な方向性に対して使われるのが特徴です。
参考イディオム:be cut out for A
be cut out for A は「A に向いている」「A に適している」という意味の表現です。
ここでの for は、人の性質がある役割に向いている方向性を示しています。
たとえば He’s not cut out for leadership.(彼はリーダーに向いていない)という場合、
リーダーという役割に対して、性質が“向いていない”というベクトルが for によって表現されています。
このように、for は「適性」や「役割」に対しても、方向性を持った前置詞として働きます。
永続性・決定性を示す for
最後に、for が「永続性」「決定性」を示すケースです。
これは英語の for の中でも特に抽象度が高いですが、コアイメージである「方向性」がそのまま応用されています。
for life(一生の間 → 人生という方向に続く)for years(何年もの間 → 長期にわたる方向性)for good(永遠に → 決定的にその方向に向かう)
ここでの for は、時間的な長さではなく、「その状態が今後ずっと続く方向に向かう」という決定性を表します。
参考イディオム:for good
for good は「永遠に」「二度と戻らずに」という意味の表現です。
ここでの for は、未来に向かって決定的に進む方向性を示しています。
たとえば He left the town for good.(彼はその町を永遠に去った)という場合、
「戻らない方向に向かって進む」というニュアンスが for によって表現されています。
まとめ:for は「方向性と受益」を示す前置詞
英語の for は、単なる「〜のために」という意味にとどまりません。
その本質は、「方向性」「意図」「受益」「対象」「適性」「永続性」 にあります。
- 方向性 → 目的地に向かうベクトル
- 利益・対象 → 行動の受け手に向かう
- 意図・感情 → 感情や意志の矢印が向かう
- 適性・役割 → 性質が向いている方向
- 永続性 → 決定的に未来へ向かう
この記事で紹介したイディオム(for the sake of / press for / for good / be cut out for A)も、すべてこのイメージで説明できます。
前置詞 for を「方向性と受益」という一本の線で理解すると、英語の抽象表現が一気に読み解きやすくなります。
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