意味について
「skin of my teeth」は、「かろうじて」「ぎりぎりで」「間一髪で」という意味です。
ものごとが成功したり、危機を免れたりする際に、本当に紙一重の差でどうにかできた、というニュアンスで使われます。
I caught the last train by the skin of my teeth.
(私はぎりぎりで終電に間に合いました。)
語源について
この表現は、旧約聖書『ヨブ記(Job)』に由来しています。
『ヨブ記』19章20節で、ヨブが自分の苦しみの極限状態を語る中に、「私は歯の皮だけを残して逃れた(I am escaped with the skin of my teeth)」という一節があります。ここでの「歯の皮(skin of my teeth)」という言い回しは、もともと「ほとんど何もない状態」「わずかなもの」という意味を強調するものでした。現代英語ではそこから発展して、「ほとんど不可能な状況をかろうじて乗り越える」という意味で定着しています。
なお、実際には歯に皮膚は存在しないため、そもそもあり得ないほどの「かすかなもの」を象徴していると考えられています。
この表現が持つ、ぎりぎり感、薄氷を踏むような緊張感は、語源からもよく伝わってきます。
この画像は、「skin of my teeth」の語源となった『ヨブ記』の場面を重厚なバロック風に描いたものです。苦悩に満ちた老人が、歯に触れながら天を仰ぐ姿は、かろうじて生き延びた絶望感と救済への祈りをリアルに表現しています。暖色系の光と深い影が、絶体絶命の緊張感を際立たせています。

類義語
by a hair’s breadth
「紙一重で」「ほんのわずかで」という意味です。
skin of my teethと同様に、きわどい場面を強調したいときに使われますが、こちらのほうがやや客観的な響きがあります。
The car missed the wall by a hair’s breadth.
(その車はほんのわずかの差で壁にぶつからずに済みました。)
by the narrowest margin
「最小限の差で」「ほんの少しの差で」という意味です。
特に選挙やスポーツの試合結果など、数字で表現できるギリギリさに対して使うことが多いです。skin of my teethよりフォーマルな場面に適しています。
She won the election by the narrowest margin.
(彼女は最小限の差で選挙に勝ちました。)
close call
「危機一髪」「あわや失敗」という意味です。
skin of my teethと似ていますが、close callの方が「失敗しかけた」というニュアンスが強く、成功したかどうかは文脈に委ねられます。
That was a close call! I almost dropped the cake.
(危なかった!もう少しでケーキを落とすところだった。)
使い方のポイント
「skin of my teeth」は、日常英会話でよく使われる表現ですが、少し大げさな響きがあるため、深刻な場面よりはカジュアルなトーンで使われることが多いです。例えば、試験に受かったときや、バスや電車に間に合ったとき、締切直前に提出できたときなどに使うと自然です。
また、「by the skin of my teeth」という形で前置詞byをつけるのが通常の使い方です。単独でskin of my teethと言うよりも、セットで覚えるとスムーズに使いこなせます。
さらに、この表現は自分の体験談に絡めて話すと臨場感が出ます。自慢話にならないよう、少し笑いを交えたり、軽く謙遜するニュアンスを加えると、英語圏の会話では好印象を与えることができます。
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