『遠い空の向こうに』紹介および考察

映画

基本情報

基本情報

 1999年のアメリカ映画で、ジャンルは伝記・ノンフィクションヒューマン。監督はジョー・ジョンストン。彼の他の作品で有名作と言えば『ジュマンジ』か『キャプテンアメリカ/ザ・ファーストアベンジャー』が挙げられます。さて今回紹介する『遠い空の向こうに』ですが、この映画は、つまるところ、ロケットを製作する話です。宇宙に飛ぶロケットに夢を見た、少年の、少年たちのある青春を描いた作品となっています。そしてとても、心を打つ、傑作映画です。
 ちなみに『遠い空の向こうに』というのは邦題で、原題は『October Sky』です。これはアナグラムになっていて並び替えると『Rocket Boys』。そうです、『遠い空の向こうに』という作品は、ロケットに夢見た、青春映画なのです!!

 余談ですが、原作のアナグラムで『October Sky』としたことも素晴らしいと思いますが、個人的には『October Sky』で、その邦題を『遠い空の向こうに』ということにしたこともセンスを感じます。いいタイトルですよね♬




ノンフィクション映画です。

 原作はホーマー・ヒッカムの伝記なのですが、彼は、元NASAの技術者です。そう、初めから分かっていることですが、夢を叶えた話なのです。少年の頃、宇宙に、ロケットに夢を見た少年と、彼を支えた家族や仲間との絆の話です。伝記は、いいですよね。分かっていても、うるっと来ます。魂が、震えます。そして思い出しますよね、青春を。

 完璧な起承転結。ある意味お手本のような映画です。減点法で作品を評価すれば、この映画にマイナスの要素はありません。100点の映画だと私は思っています。

HARU
HARU

ハードルを上げるだけ上げて、

PENくん
PENくん

そのまま宇宙まで飛んでいけちゃう映画

簡単なあらすじ

 1957年。米ソ冷戦時代のアメリカ。炭鉱夫になるしか未来がない町で、高校生のホーマーは、空に飛んだスプトーニク(人工衛星)を見て、それに魅入られた。そして彼は、友人たちと宇宙に夢を見るようになり、ロケット制作に夢中になります。

 炭鉱夫としてのプライドを持ち、誰にでも厳しい父。アメフトで有名になり大学から奨学金をもらい進学する兄。家族に分け隔てなく愛情を注ぐ母。そんな家族に加え、夢を応援するライリー先生。こっそり、ロケットづくりを手伝ってくれる炭鉱夫のおっちゃん。

 そんなみんなの想いが絡ませながら、空に向かってロケットを飛ばすそんなお話しです。

面白いと思うところ

 冒頭で評価に触れましたが、観て頂ければ「ぐうの音も出ない」と言わせる自信があります。明らかに傑作です。ですが、あまり認知度高くないですよね。この作品に引けを取らないくらい有名すぎる傑作に『ショーシャンクの空に』があります。みなさんも、こちらは観たことはなくても聞いたことはありますよね。
 大事なことを言います。『遠い空の向こうに』は『ショーシャンクの空に』と同等か、それ以上に面白いです。ですが先にも触れましたが、認知度は『遠い空の向こうに』<<<<<『ショーシャンクの空に』くらいの差があります。
 こんなことを書きましたが、それも実感して、その喜びを共感したく、このサイトに辿り着いた人もいるはずです。映画って「観て半分。それを誰かと話して半分」ということを私は昔から感じています。そこでね、あのシーンで、とかあのセリフね! みたいなことを話すのです。それが、とても楽しいですよね。
 前振りが長くなりましたが、本作には、夢を見ることの大切さが描かれています。また真摯に夢・目標があれば、一生懸命頑張れば、諦めなければ、周りが変わります。本人も変わります。人生が、煌びやかになります。もちろん、夢を叶えるのは並大抵のことではありません。一番認められたい人に、なかなか理解されないことの苦しさ、時間は有限だし、お金だってない、でも、それは言い訳なんだ。大事なのは想い。自分を信じること。この作品は少年たち以外にも、彼らを信じて、支援してくれる先生がいます。よく運も大切だといいますが、彼にとっては恩師となる人が近くにいたことです。しかしこれは運なのでしょうか? 私は、それも夢がなしたことだと思います。環境は、自分で作るのです。彼らにとっての恩師が、恩師なり得たのも、彼らの夢の力の結果だと、私は思います。夢の、パワーを感じられます。可能性を感じられます。自分で切り開くのです。人生は一度きり。流されるように生きちゃダメだ! 夢中になるものを探すんだ! この映画が証明しています。

 「遅すぎるスタートなんてない」あなたがそう感じたのであれば、今からでも夢を追えばいい。夢は、追わないと叶わない。また、まだまだ十代の、二十代の方もそう。「君たちはまだ若い。今からだ!」この映画がロールモデルとなれば幸いです。だってこの映画、伝記だよ。ノンフィクションなんですから。
 気がつけば大枠の話しかしていなかった。少しくらい話します。やっぱり私はあのシーンが好きだね。最後の方、炭坑にメダルを持ってきて、ホーマーが父親に言うところ。ぐっとくる(続きは読んだ人向けで)。

 あと、これは個人的なんですが、バイオリンの効果音というんでしょうか。随所で流れますが、これが映画を本当に際立ててます。映画としての魅力をさらに盛り上げています。なかなかこういった映画に巡り合えないので、そういった点も魅力の一つです。

こういう人にお勧め

 いま、もやもやと惰性のように生きている人へ(少し言葉が悪いですかねww)。また夢をお持ちでいない方、毎日がつまらないと感じる人へ。『遠い空の向こうに』はね、2時間も無い映画なのですが、すごいパワーを秘めています。絶対に、絶対にビビビとくるはずです!

(技術者の方へ)
⇒必修科目です。もし、観ていないのであれば、初心に帰るつもりで、もう一度、この仕事を志した時の、あの胸の、熱い想いを体現しましょう! 是非! もちろん『インターステラー』とか、ああいうゴリゴリの作品でもそれでいいのでしょうが、もっと根底の部分で、本作は、やはり必修科目だと私は思います。

ここから読んだ人向けの話

考察

 野暮なことを言うようですが、よく出来過ぎています。本筋ではないためか、ロケット打ち上げの試行錯誤はさらっとしており、本当に金メダルを取れるほどの成果だったのかが伝わってきません。ただその環境づくりからも並大抵のことではないことが伺えます。

 またライリー先生は特別ホーマーたちを贔屓しているようでした(もちろんそれも彼の信念や努力でそう思わせたのでしょうが)。それは、他に夢を見る生徒がいなかっただけなのかもしれません。しかし、きっと安くない専門書をわざわざ自費でプレゼントするなど、ちょっと普通ではない関係性にも見えます。この点は、終盤にかけてライリー先生が体調を悪くし、入院する描写、またその後に若くして亡くなったことからも、後考察できましたが、彼女にとって、教員になって、夢を志す生徒を全力で応援することが彼女の夢だったのかもしれません。そして、最後に打ち上げたロケットにはライリー先生の名前が与えらていました。それを病室から覗いた彼女は、まさに最高の瞬間だったのではないでしょうか。まぁ、、、でもこの部分は脚色ですかね。原作を読んでいないので、絶対にそうだとは言えませんが、ホーマーの目線で描かれていません。病室で一人のライリー先生が本当にロケットが上がったのを見たのか。どう思ったのか。それは定かではないはずです。この点はまさに映画的ですね。ただこうであって欲しい、もしくはこうあるべきだと、脚色されたのだと私は考察します。

父との感動のやりとりについて(余韻用)

 劇中、父親はホーマーの幸せを願ってこその厳しい言葉を多く浴びせ、最後の最後までロケット製作には否定的でした。そんな父に対してホーマーが伝えたセリフです。

 ホーマー「僕達、見解が一致しない事柄がある。いやことごとく全てのことで一致しない。でも、僕もひとかどの人間になれるはずだ。オヤジと異なるからじゃない。同じだからだ。同じぐらい、分からず屋で強情だ。同じぐらい、いい人間になりたい。確かにブラウン博士は偉大だが、、、ヒーローじゃない。」

 余談ですがホーマーのセリフを英語で記載すると、こうなっています。

「Look…I know you and me don’t exactly see eye to eye on certain things. I mean, man, we don’t see eye to eye on just about anything. But I come to believe that I got it in me to be somebody in this world. And it’s not because I’m so different from you either. It’s ’cause I’m the same. I can be just as hardheaded and just as tough. I only hope I can be as good a man as you are. I mean , sure, Dr.von Braun’s a great scientist… but he isn’t my hero.

 英語もとても素敵です。as you are (あなたと同じように)。こう言った後に、オヤジは顔をホーマーに向け直すんですよ!! そして終始流れるバイオリンの音色!!ww

 ほんと100点の映画です!
 皆さんはどう思いましたか?

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