『生きとるわ』あらすじ付き作品紹介。作者、又吉直樹について語る。

小説

基本情報

 又吉直樹6年ぶりの長編小説、タイトルは『生きとるわ』。これまで『火花』『劇場』『人間』と、二文字縛りでもしているものだと思ったが、どうやら違ったらしいww 純文学、読了目安時間は8時間。まず感想として、やっぱオモロイ! そして、やっぱすげかったですわ。胸がぎゅーってなる、すごいパワーがある小説だった。ぜひ、紹介したい。ということで、「面白いと思うところ」では、ココを読め! というところを、かなり長めに書き写すつもり。危惧はある。こんなに長く徒然と書くと、もしや著作物なんちゃらで叩かれるのかもしれないが、知らん。こういうブログをやって、今、これを読む人が、まだ読んでいないところからココにリーチした場合は、「ラッキーだった」と思ってもらえるようにしたい。だってね、読めば、あなたは買うよ。きっと。だって、だってさ、すごいんだから。まあ、それは後ほど。とりあえずは作者、「又吉直樹」についてから書くことにするつもりだ。

 彼が芸人として一線にいた時(はてな、今は一線にいない? 正直、「芸人」としてはそうだろう。あまりTVで見なくなったよね。と、感じるのは私だけだろうか……)、ピカルだとか色々なテレビ番組で見ていたこと、歳は私より少し上で、今は45くらい。そう言えば、まだ作家じゃない時の又吉にも、昔から好感がもてた。個性的だよね、あまり芸人芸人していないところも、よかった。なのに、たまにボソっと言えば、面白い。コンビ名は「ピース」。又吉が芥川賞を獲る→相方の綾部がアメリカに行く。という順番だったっけ? ピース、人気だったよね。綾部……綾部……もうずいぶん見ていないね。今何しているか調べたくなったが、今日は相方の話はしない。又吉だ、「又吉直樹」で調べて見ることにした。

 待て待て! 浮浪者やないかない!! 刑務所で撮った写真ですか!? 何かやらかしたんか! とにかくね、これじゃない、これではいけない。違う、違うんだ……どこかの教祖みたいじゃないか、ほか、ほか……

 いや、ニコラス・ケイジ! (東京ホテイソンみたいに言いたいww)ちなみに彼の嫁さんは30歳下の日本人とのこと。って、違う違う! どちらかと言えばキアヌ・リーヴスに似ているんだ。おいっ! 悪ふざけは止めよう。

 私たちが知っている又吉をここに貼る。『火花』で芥川賞作家になった又吉と、コントからの切り抜きと、お洒落な又吉という感じにピックアップしてみる。

 いい笑顔だね。そしてナイス「ピース」だ。

 コント「メンズナックルに憧れて」の又吉。若いし、まぁまぁカッコよく見えるww

 カッコいい! そして、こいつはお洒落、なのだろう、きっと。がしかし、ここらへんの領域は、普通(一般的)ではない、≒個性的ということは分かるが、それが必ずしも良いのか・悪いのか、などは、好みはあって、正直なところよく分からない。だけど、又吉ならいい。が、他の人じゃ難しいんだろうな。とは思う。

 色んな又吉がいる。もう少し、又吉の話は続く。私が好きな又吉は、近畿大学(以下,近代)でスピーチした又吉。近大では例年、卒業式では著名人をゲストスピーカーとして呼び、15分ほどの講演? 卒業生に宛てたメッセージを話してもらうというイベントを実施している。別に私が近代のOBだとか、そんなんじゃないんだけど、YouTubeで調べればすぐに出てきます。それが、なかなかの大物ばかりなんだ。又吉以外でも、抜粋すればホリエモン・IPSの山中伸弥先生・本田圭佑・安倍晋三・秋元康ときて、今年は村上信五だった。 

 どうよ、すごない? 結構幅広にチョイスしているし、かなりの人物ばかりだ。どのスピーチも悪くない。が、私は又吉のが断然好き。これ、

見て頂けたでしょうか。素晴らしいですよね。この場にいた卒業生全員に、このスピーチの真意を理解できたとは思わない。それなりに社会を経験してからなら、身に沁みる。まだ分からないかもしれないし、なんか後ろ向きな話だなあ、なんて思うかもしれない。でも、あとで思い返せば、必ず分かるはずだ。

 私が一番好きなのは、このフレーズ。

排水口を見つめているだけの時間

 また、芸人らしく例えているのは、流石。

 僕は、こういうふうに考えるようにしているんです。嫌なこととか、しんどい夜が続くときは、これは次に良いことはあるための「フリ」だと。

 水も喉が渇いているときのほうが、おいしいじゃないですか。いつでも水が飲める状況よりも、水が飲めないときに飲んだ水の方がおいしい。みたいなのと一緒で、しんどいことがあったら、その後、必ずどこかで楽しさが倍増するような面白いこと・楽しいことがあるんだっていうふうに、信じるようにしてるんで──

又吉直樹による近畿大学でのスピーチより、文字起こし

……そして、
バットエンドはない、僕達は途中だ──

 ほんと最高だよ。又吉はカッコつけないんだよね。だから好きなのかもしれない。きっと、そうだ。今回紹介する『生きとるわ』は、6年ぶりの長編小説だってことは書いたけど、いいよ、それでいい。これからも、ずっと待つ。こういうのに一番いい例が漫画『ハンターハンター』だ。ね、そうでしょう? いくら休載したって、誰も富樫さんに文句言わない。だって、ばちくそ面白いんだ。それと、同じなんだ。これは、余談だったね。

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あらすじ

「生きる」とは、こんなにもやりきれなくて、おかしい──

累計354万部『火花』から10年後に書き上げた、新しい代表作!

公認会計士として傍目には順調な生活を送っている岡田。しかし、高校時代の仲間だった横井に500万円を貸したことから、その人生は狂い始める。横井は他の仲間たちからも借金を重ねたあげく、姿をくらましていた。

阪神タイガースのセ・リーグ優勝が決まった夜、岡田は大阪・道頓堀で偶然横井と再開する。貸した金を取り戻そうとする岡田は、逆にさらなるドツボにはまっていく……

人間の「闇」と、「笑い」を両立させた奇跡的先品!

文藝春秋BOOKSより

面白いと思うところ

 さて、冒頭で触れましたが、ここから長~い、引用? いや、もはやここまで行けば転写のレベル、いいのか分からないが、書くぞ。そして、こう言うんだ。「えっなんて! 読んでない!?」「ぼけ・あほ、とにかく読まんかい!!」勝手なイメージだけどね、僕が大阪人やったら親しみ込めて言うのかなあ、なんて言えばいいのか分からないんだけれどもさ、僕は、布教したいんだ。今から書くところまでもよかったんだけど、ここに記したところで、僕(これ以降の主語は「僕」にする。感覚でしかないんだけど、「私」じゃだめな気がするんだ)は完全にもってかれたんだ。ネタバレなんかしない。ただ、すごいことが書いてある。「ヤバい!」と、率直に、正直に思ったんだ。紹介したい。ねえ、準備はいいかい、長いからな、いくぞ。

 そして、僕は死んだ。特別な病によって肉体が蝕まれ、命を継続させる仕組みが機能しなくなったということではない。生きていくための魂を保つことができなくなった。彼の死は本人が弱かったということによって片付けられた。彼の犯した非に対する指導は常識の範疇に収まっていると判断されるのやろうか。彼の失敗は命を失うほどのものやったのか。社会のシステムを通常通り動かすためには、弱い人間は不良品として扱う必要があるのやろうか。それを他の生徒も保護者も支持したということなのか。それなら、彼と同じように繊細な生徒が他にいたとしたら、その生徒もやはり同じ運命を辿ることになるのやろう。それも、彼の弱さの責任とされるのか。結局、この世界は能力が高い者のためにあると認めてしまっているやないか。弱者が悪いという空気が醸成されて、弱者が排除され続けたら、いつか自分の番がまわってくる。その仕組みを否定できないなら、これは大規模な集団自決となんら変わらない。僕は生きたかった。自分から死にたいなんて思ったことはなかった。みんなで、ゆっくり死んでいこうという声が聞こえる。声を揃えているのは僕ではない。僕以外の人達。自分と同じような人もどこかにはいるのやろうか、ここにいたら、そうは思えない。自分以外のすべての人が共にゆっくり死んでいこうと合唱している。自分の日々の生活が苦しいのは自分の努力が足りないからなんやろ。それを乗り越える強さが自分にないからなんやろ。そんな状況を回避する才能が欠落しているからなんやろ。全部、自分の責任ということになるんやろ。この社会の構造の不備には目を瞑り、そこで生じた個人の痛みは各々で持ち帰り、自分でなんとかしなければならない。おまえらが人に優しくないから、世界はおまえに優しくないんや。強さを持つ者だけが生きる資格があるならば、弱さがあってあたりまえやと思っている自分に生きていく場所なんてないよ。あいつを殺したのはおまえらや。いじめは駄目。差別はよくない。笑わせるな。おまえたちは生まれつきの、真正のいじめっこやないか。あほんだら。

 そんな世界を自分は受け入れることができなかった。それが本当のことやと自分には信じることができなかった。

 僕が死んだ次の日、体育館で全校集会が開かれた。教頭みたいな校長は、「このような悲劇は二度と起こってはならない」ともっともらしく語り出したが、途中から鼻息が荒くなり、「一部の上級生とトラブルがあったという話も出ておりますが、聞き取り調査を実施したところ、その件は今回のこととは直接関係していないということが明らかになりました。学校側に落ち度は無かったということは強く主張したいですし、皆さんは我が校の生徒として恥じることなく誇りを持ち努力を続けて欲しい」と自己保身と都合のいい啓蒙に終始していた。体育館の脇に整列した教師の先頭には、校長みたいな教頭が、次期校長は自分であるというような神妙は顔で立っていた。

 ほんで、聞き取り調査ってどこでやってん。死んだ当事者以外の誰がほんまのこと知っとんねん。痛みに寄り添うことなく、そんなことより落ち度が無かったことを主張したいって、おまえ頭わいてんのか。適当なこと言うなよ。

「皆さんも日々生きていると苦しいこと、辛いことがあると思う。しかし、それを一瞬で投げ出してしまうのは簡単であり、哀しいことです。その苦難を乗り越えてこそ、真の栄光があると私は信じています!」

 嘘つきが。一瞬で投げ出したんやないねん。同じように苦しい夜を何日も乗り越えて、とうとう疲弊して力尽きたんや。投げ出してしまうのは簡単やと。嘘つきが。簡単なんやったら、おまえが死んでみろ。怖いやろ。俺も無茶苦茶怖かったわ。嫌いなもん、怖いもん、自分を不安にするもんから距離を取って、たとえば学校なんか辞めて、好きな場所で働きながら一人で暮らせたら楽しかったんかなとか、死んでしまってからなら考える余裕もあるけど、その時は、親がどう思うやろうとか、自分を馬鹿にした奴等に根性無しと思われるかなとか、そんなことばかりで頭がいっぱいになって、それ以外に選択肢がないと思うくらいに追い込まれてもうたんや。どこが簡単やねん。迂闊にもの言うなよ。

又吉直樹『生きとるわ』文藝春秋 P134~136

 どや、長かったろ笑。でもな、よかったんちゃう? そう思ってくれたら、「僕」が報われる。こっちもな、横に小説並べて、右にPCで、書き写すの大変やったわww 間違えないように、カタカタ。あっ間違えた、いけない。バックスペース。そしてカタカタ。の繰り返し。と地味な作業やったん。どうだろうか、場合によるけど、同じ文字数ならゼロから好きなように書くことの方が気楽で、早いもんじゃないかな。あとね、私は似非なんだけど、関西弁がまたいいよね。で、本題さ。この文章、すごない? 僕はここで完全に持ってかれた。ね、君もそうだって言うのならばさ、この前も、後も、気になってくるでしょう。

それでさ、ここに記したのがイコール面白いところって、説明するのは違うとは分かっているんだけど、暗いんだけど、小説として、推しのところなんだよな。こんなんさ、ハマる人には度ストレートじゃん! ただね、「暗すぎ、嫌」という感想があってもいい。それも間違ってはいない。回れ右をすればいい、世の中にはもっとハッピーな小説だって溢れている。このブログでも明るい小説を紹介している──

 ただね、持論だけどさ、こういう小説の方が本流なんじゃないかと、僕は信じている。どんなに壮大なSFよりも、ラブストーリーよりも、ミステリーだって、色々あるけど、純文学には敵わない。と、僕は思うんだ。ダメだ……このくらいで止めておく。これ以上は喧嘩になっちゃう。

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HARU
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小説の好みは千差万別。だけどこのブログ好きな人は純文学好きやろ。

PENくん
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純文学の定義はこちらからどうぞ!

こういう人にお勧め

 又吉の『生きとるわ』にはね、笑いも、希望もあるんだけど、なかなかに暗い小説だと思うんだ。読みながら、胸がぎゅーって、なる。カラクリは想像できちゃうからなのか、それとも僕が学生の頃に、決して一軍なんかじゃなくて、二軍でもなくて、三軍だったからだろうか。読んでいると苦しいんだ。「それ、分かるー!」という共感、みたない話だけじゃなくて、……きっと思い出すんだ。

こいつは開けちゃいけないパンドラの箱なんだって。でもね、全部暗かったってことはない。それは分かっているんだけど、どうにも濃さが違うんだ。さらに悪いことに色も、黒で、そいつは強力で、いつの間にか他の鮮やか青春に、簡単に勝るんだ。怖いんだ。なんて言うんだろうね、そういうのは「黒歴史」?——なんて、今は言うのかな。こんなファンタジーで使いそうな言葉じゃ、全然形容できてなんかないよ。阿呆。ただ分かることは少なからず、作者は、又吉は、経験者で、見てきた、もしくはソレをよく知っている側なんだ。そうじゃなければ、書けない。そんなことを思うと、また暗くなる。

 そして結局ここに帰結することになって悔しいんだけどさ、白状する。純文学は一軍じゃなかった全ての人を受け入れることができる暗いジャンルなんだって思うわけ。たぶんね、そこらへんが得意領域なんだ。嫌な感じ、ダメな感じ、堕ちて行く感じ、それらを文字にして紡いだらさ、他に叶う奴なんていない。触れたくない、聞きたくない、でも知りたい……触れたい……というのが、ある。だから? じゃないかもしれないけれど、とにかくだ、やっぱ純文学はオモロイんだ。

 で、一応ね、いくばくかの希望に近い話をする。ほんまもんの一軍なんていない、という説。そんなんいるもんか! まあね、ほんとうに一握りの人がそうなのかもしれないんだけどさ、何が言いたかって、誰にだって闇があるんだ。って、勝手に信じているって話。!?……これって希望じゃないかも笑 哀しき真実だろうか。

と、いう訳でお勧め。というか、読んでみてほしい。きっと、誰にだってある「闇」に、よく刺さる。読んだ君に、照らすのが「光」なのか、それは娯楽や希望と呼ぶものなのか、救い、なのか、回顧なのか、その正体もしくは正解については僕には分からない。ただ、僕にはとても面白い小説であったこと。堕ちて行く感じが、ヤバイし、現代的で当事者的であった。ここまで読んでくれたんなら、ちょっとそこのお兄さん! お姉さん! 読まな! ぜび! 是非!!

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読んだ人向け

 さいごに、読んだ人を対象とした批評を色々と書こうと思っていたんだ。だけど、ここまでで結構なボリュームになったことと、僕が言いたいことはほとんど書けたと思う。なんていうか、要は、お腹いっぱいなんだ。とりあえずいまのところは。

 ほんとうは読んでいる時に気になったセリフや、ページをメモしていたから、そのことについて熱く語ってやろうって思っていたんだけど、いいや。いつか再読して、その時にまた記事にしようと思ったならば、書こう。その際にはね、今回みたいに作者についてこれほど長く書くことはしない。しないつもりだけど、その時に又吉が何をしているか、僕はまた首を長くして次の新作を待ち遠しくしているのか、それとも又吉、タガが外れたみたいにバンバン新作を出しているかもしれない。そして「なんか、最近の又吉って、小説は頻繁に出すようになったけど、つまらなくなったよなあ」なんて書いて、やっぱ〇年前の『生きとるわ』とか、『火花』って名作だったよなあ、なんてことを僕は言っているかもしれない。酷い話だ。小説家ってのは、漫画家とかもそうだけど、ファンも多ければ、同時に無責任な敵もいっぱいいるんだ。

──嗚呼、書きたかったなあ、これに合わせて読んだ『さくらの唄』。岡田もなんで金を貸すかねえ、とか僕(岡田)も弱いねえ、にしても横井ヤバイ! 大倉のアヌンナキや、龍先輩の音楽について……あと香織な。とか、ネタは十分なんで、存分に批評のし甲斐があるもんだ。俺(横井)が二回裏切ったら、必ず岡田が一回裏切る──

 とかね。でも、この記事はここまでにする。下に貼りつけたのは漫画『さくらの唄』を紹介した動画です。あっちゃんが上手、こちらも読みたくなったら是非!……ちょっとお高いんですけどね汗 まあ、こっちはともかく『生きとるわ』ですよ! 買ってみて読んで下さい~それではまた!

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