『プラダを着た悪魔2』あらすじ付き作品紹介及び正しい続編について考えてみた

映画

基本情報

 2006年の『プラダを着た悪魔』から20年、その続編だ。はじめ、デマかと思った。そんなことはない、そう思った。そしてそれがデマじゃないと分かったあとも、僕はさすがにコケるんじゃねえかと思ったんだ。だけど、どうやら大ヒットだったらしい(これは、なにもディスっているわけじゃない。『プラダを着た悪魔』のファンは多いと思うんだけど、流石に20年後の続編って、無理じゃないだろうか……って、思っていたんだよ)。で、観たんだ。公開はGWだったんだけど、なんともう、「Disney+」で観ることができるっていう。すごく早いよね、観られるんなら、観るよ。そんな気持ち。でも、あまり期待していなかった。というのが正直なところ。

 キャストは変わらずメリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチがいて、監督デヴィッド・フランケル、脚本アライン・ブロッシュ・マッケンナまで続投している。これは本当に「よくやったな」って思う。

 そして結果だけど、先に述べたように僕の予想とは逆に大ヒット。世界興収は約1000億円だっていう、これは前作の約2倍って話だ。僕の「続編はコケると思った」という感覚は、映画の出来とは別に、かなり自然な読みだったと思っている。むしろ、この映画の場合は「作品そのものの評価」以上に、20年間積み上がった『プラダを着た悪魔』への愛情が巨大な興行エンジンになったんじゃないか、と僕は考察する。観た人向けで詳しく書く。

簡単なあらすじ

 前作から20年。
 かつてミランダのアシスタントを務めていたアンドレア・サックス、通称アンディは、ミランダのもとを離れ、ジャーナリストとしてキャリアを積んでいた。
 一方、ミランダは今もファッション誌「ランウェイ」の編集長として、ファッション業界の頂点に君臨している。

 ……とはいえ、何もかもが20年前と同じというわけでなく、時代は変わった。紙の雑誌を取り巻く環境は厳しくなり、「ランウェイ」もまた存続の危機に直面。さらに、ミランダ自身にも批判の目が向けられ、かつて絶対的な権力を誇った彼女も、時代の変化と無関係ではいられなくなっていた。

 そんな中、アンディは再び「ランウェイ」と関わることになる。そこで待っていたのが、かつてミランダのアシスタントとしてアンディとしのぎを削ったエミリー。
 しかし、20年前とは立場がまるで違う。エミリーは現在、ラグジュアリーブランドの幹部。かつてミランダの命令に右往左往していた彼女が、今度は「ランウェイ」の存続を左右するほどの力を持つ側になっていた。

 そしてもちろん、ミランダの右腕として今も「ランウェイ」を支えるナイジェルも健在。

 アンディ、ミランダ、エミリー、ナイジェル。20年前、同じ職場で働いていた4人が、20年という時間を経て再び交差する。

 ただし、今度の敵? はミランダだけじゃない。ファッション業界そのものが変わり、雑誌というメディアのあり方も変わってきた。かつて「ランウェイ」の編集部を支配していたミランダが、この時代をどう生き残るのか。いかようにして、アンディは20年前に別れたミランダと、もう一度向き合うことになるのか。あの「悪魔」は、20年経ってもまだ健在なのか。
 そしてアンディたちは、20年前とは違う答えを見つけられるのだろうか……

 と、僕が書いていいと思う範囲で書くと、こんな感じ。さて、なんでこんなに長く書いたかって? これは、アドバイスなんだ。というのはね、この映画、物語の中心が「アンディの物語」なのか「ミランダの物語」なのか、途中でちょっと揺れるし。交差する。前作は圧倒的にアンディだった。「田舎から出てきた普通の女の子が、悪魔のような上司に出会う」これだけで一本の映画になっている。でも今回は、「アンディの現在」「ミランダの危機」「ランウェイの経営」「エミリーの現在」「20年前の因縁」「紙媒体の衰退」とかそんなもん全部が同時に進む。
 だから、あらすじを整理すると「なるほど、こういう話だったのか」となるんだけど、観ている最中に一本の強い物語として入ってきにくい。ということが僕にあった。これは、僕の体験から生じたことで、まだ観ていないのなら、君もここまでは入れてもいいと思える情報、老婆心かもしれないが、ここに記す。

面白いと思うところ

 なんといっても、20年ぶりにアンディ、ミランダ、エミリー、ナイジェルに再会できること。ファッション業界を舞台に、前作から変わった彼女たちの立場や関係を眺めるだけでも楽しい作品。さらに、現在のファッションやメディアを取り巻く環境が物語に反映され、20年という時間の流れを感じられるとこ(見比べるとすごく面白いんだ)。華やかな衣装とニューヨークの街並みも健在。そして現在も変わらず、アン・ハサウェイの美しさには驚かされるんだ(面白いところかってツッコミが入るかもしれないが、本作品の魅力であることに間違いない)。

と、書いた後にこれは言っておきたいこと思った点が3つある。3人の女性についてだ(ごめんね、ナイジェルww)。

ミランダの話。「ミランダ」と「コンプラ」の時代

 ここね、めちゃくちゃ面白い。これは、観る前から危惧したところww
 前作が公開された2006年と、2026年では、「ミランダ」の見え方がまるで違う。前作を観たときは、「うわ、最悪の上司!」と思いながらも、「でも、こんな人がトップにいる世界ってカッコいいな」という魅力があった。
 ミランダは怖い。でも仕事ができる。
 そして、その恐怖を含めて「プロフェッショナルの世界」の象徴だった。

 ところが今、同じことをやったら、「いや、それパワハラでは?」ってなるよねww だから今作のミランダは、前作ほど「悪魔」として描けない。
 むしろ、ミランダを悪魔として描くこと自体が時代遅れになった。僕はこれ、続編としてすごく面白いテーマだと思う。ただし映画は、それを真正面から批判したりもしない。ミランダを現代的に再解釈しつつも、結局は観客に愛される「ミランダ」でいさせる。
 だから、「ミランダ、怖い!」
 ではなく、ミランダは、まだミランダだなあ
 というノスタルジーになっている。ここが今作の最大の特徴かもしれない。

エミリーの話。偉くなったね、「ミランダ」門下の2人

 今作のエミリーは、なかなか良かった。とりあえずスポットがあたっている。
 前作では、ただアンディのライバルだった。
 アンディに冷たくて、ミランダに忠実で、ファッション業界に命をかけている。でも20年経ったら、エミリー自身が成功している。
 そして面白いのが、エミリーはミランダに似た人間になったわけじゃない。ここがいい。

 ミランダの下で働いていたからといって、ミランダになる必要はない。エミリーはエミリーのやり方で成功した。これって実は、アンディにも通じる。前作のテーマのひとつは「ミランダのようになるのか、それとも自分の道を行くのか」だった。20年後には、アンディもエミリーも、それぞれの方法で自分のキャリアを築いている。
 だから今作は、「ミランダから卒業した2人の女が、もう一度ミランダと出会う話」とも読める。これ、僕は結構好き。

そしてアン・ハサウェイ

 僕のアン・ハサウェイって、『プラダを着た悪魔』⇒『マイ・インターン』が軸・正統イメージ(彼女に合っていて、はまり役)なんだけど、気がつくと『レイチェルの結婚』『ダークナイト ライジング』『レ・ミゼラブル』『インターステラー』『オーシャンズ8』とか、すげえ作品に出ている。しかも、もうすぐ日本でも上映、注目度大のクリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』にも出ているって話。ノーラン作品に、彼女が出演するのは三作品目? もっとあるかな。って、何が言いたいかって、彼女、もう完全にすごいじゃん! あの時はまだ、そこまでじゃなかった。こんな大物じゃなかった。でも、全部『プラダ~』から始まったんだ、彼女のシンデレラストーリー。

 そして2026年。彼女が帰ってくる。アンディとして。これ、ものすごくいいよね。
 20年前のアンディを演じたアン・ハサウェイ自身が、20年のキャリアを積んで帰ってきた。だから『プラダを着た悪魔2』って、実は映画の中の20年だけじゃない。アンディの20年。アン・ハサウェイの20年。そして僕たち観客の20年が全部重なっているんだ。

 ということで、言っちゃえば、映画そのものが普通でも、観客が泣けたり嬉しかったりする理由はここなんじゃないかな。それに「思い出補正」、あると思うよ。そもそも悪いものじゃないんだよね。「あの頃好きだった映画の人たちが、20年経ってまだそこにいる」それだけで、ちょっと嬉しいもんだよね。

HARU
HARU

「正しい続編」っていうのはね、僕が納得したい。ってことなんだ。

PENくん
PENくん

作品は違えと、呪術廻戦の虎杖の「正しい死」みたいな考えね。

こういう人にお勧め

 前作『プラダを着た悪魔』が好きだった人は、四の五の言わずに、観ましょう。お勧めとかじゃない、観ましょう。安心していいですよ、正しい続編ができました。これは、いい。立役者はアンディ、だけじゃない、ミランダ・エミリー・ナイジェル。彼女らの「20年後」が気になるなら、観て損はありません。また、ファッション映画が好きな人、アン・ハサウェイやメリル・ストリープのファンには強くお勧め。逆に、この2人にとって、『プラダ~』は絶対だよね。で、今回の『~2』は前作を知らなくても楽しめますが、とは言いません。できれば鑑賞前に前作を観てほしい。そして、できれば時間もあけて欲しいところですが、さすがに20年は簡単じゃない。いかん、僕はいつの間にか少しばかり興奮していた。20年ぶりの再会だからこそ、味わえる楽しさがあった。

 前は案件みたいに「Netflix」への加入を勧めるようなことを書いたが、『プラダ~2』が観られるのは「Disney+」だけ。まだ未加入ならこの機会に入ってみてはいかが。こういうのは、キッカケだよね。僕は『SHOGUN 将軍』の時に入ったww ただ、ドラマって言うより、やっぱ「マーベル」「スターウォーズ」だよね。あと「ピクサー」ね。そう言えば、『アバター3』も観られるんだった。また観なくては! あとね、感覚的には「Netflix」に入っている人の方が多いと思うんだ。でも、映画好きは「Disney+」だよね! とか、ちょっと危険なことを言って、〆る。

 そう言えば「メリル・ストリープ」が出演する映画記事も書いたばかり。こちらもよかったら読んで欲しいね。あと、「Disney+」ではもう観ることができる『アバター3』も記事にしている。こちらも是非。

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観た人向け

批評(正しい続編について考えてみた)

 ねえねえ、やっぱりちょっと内容分かりづらくなかった?
 最終的には、エミリー側の思惑も絡んだ買収計画が動き、ミランダが編集長の座を守れるかどうかが大きな問題になる。そしてアンディがミランダを救う方向に動き、結果、ランウェイが存続する道が残される。……と、こう書くと分かるよ。でも映画を観ている最中は、これが案外分かりにくい。

 というのも、前作はものすごく単純だったんだよね。アンディがミランダの下で働く→仕事ができるようになる→その代償として自分の生活が壊れていく→そしてアンディは「私は何をしたいのか」を考える……こんな感じ。だから僕たちは何も迷わなかった。ところが『~2』は、ランウェイの経営危機、紙媒体の衰退、デジタル化、アンディの失職、ミランダのスキャンダル、エミリーの立場、買収話……と、いろいろな問題を詰め込んでいる。
 だから、「20年後の彼らを見せる」という目的に対し、複数の問題が錯綜し、複雑となって、ちょっとブレた。と考え、僕はここのところ、なんか、惜しいと思った。

 それで、嫌味な奴が「傑作かって?」と聞けば、僕は言う。「いや、内容はそうでも……だけど──

 だって、前作のあの異様な完成度を考えると、やっぱり違う。前作は「ファッション映画」でありながら「仕事映画」であり、「成長映画」であり、さらに「自分らしく生きるとは何か」という青春映画でもあった。ということを僕たちは『~2』を観る前から、全部知っている。だから、予見した、超えることは出来ない、と。じゃあ——作戦は何だ。本作では何をした?——前作のファンが喜ぶものを大量に置いてくることにしたんだ。アンディ、ミランダ、エミリー、ナイジェル……キャスト変更だけは、絶対のNG。それでは意味がない。舞台は変わらずに、ランウェイ、ニューヨーク、ファッション……

 だから、観ていると懐かしく、楽しい。でも、楽しいのと、面白い物語なのとはちょっと違う。僕はここが、この映画の核心だと思う。「思い出補正」という言葉は、ここに的確。
 本作は、続編というより、「20年前に好きだった映画の同窓会」なんだと思う。

 だから、ファンは楽しい。僕たちは彼女たちに会いたかった。20年後のアンディはどうなった? エミリーは? ナイジェルは? そしてミランダは?
 それを見せてくれるだけで、ある程度満足できる。だから興行的に成功したのも、僕はすごく納得する(合点がいった)。

 これは「映画が大ヒットした」というより、『プラダを着た悪魔』という記憶が大ヒットした部分がかなり大きいんだって、理解できた。

 あとは、結果として良かった、面白かったのは「アンディはミランダから逃げたのに、結局、ミランダと同じような仕事の世界に戻ってきた」というところ。前作のアンディは、「私はこんな世界に染まらない」と思っていた。でも20年後のアンディは、もう完全にプロフェッショナルなんだよね。ミランダに怯えていた女の子が、ミランダと対等に会話している。
 それはつまり、アンディはミランダを倒したのではなく、ミランダのいる場所まで来たということでもある。
 これ、僕はかなり好き。ただし、そこから先に「ではアンディは何を選ぶのか?」というところを、映画がもう一段深く描いてくれたら、もっと良かった。
 だから僕の答え(評価)は、こう。「傑作ではない。前作を超えていない。メッセージも弱い。でも、20年ぶりに会えて嬉しかった。」分かった──『プラダを着た悪魔2』は、20年前の映画を超えるために作られた続編ではなく、20年前の映画を愛している人たちに、もう一度会わせるための映画だった。

 続編とは、愛すべきファンに贈る作品であるべき、なのかもしれないその点で、成功している。これが、正しい続編なんだろう。

 それにしても、アン・ハサウェイはまだまだ現役、綺麗だったなあ。すごいや、って、一応調べたところ、なんと彼女はまだ御年43。なんか、納得。勝手に50に近いと思って、これを書いていた。なるほどね、あの時の彼女はまだ23だったのね、あまりに違う世界にいると、こういうところ分からなくなるよねww
 最後に、もし、まだ君が「マイキー・マディソン」を知らないのならば、この映画は必観ですよ。若かりし頃のアン・ハサウェイみたいなんだ。ぜひ!

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